不正咬合の種類には色々ありますが、その中のひとつである「オープンバイト」は、奥歯で噛んだ時に前歯の間にすき間ができる噛み合わせの異常です。

 

オープンバイトは必ずしも歯並びがガタガタというわけではありません。中には正面から見ると歯列が揃っているように見えることもあります。しかしオープンバイトをそのままにしておくと、日常生活に不便を感じるだけでなく、お口の中にも色々な悪影響が出てしまいます。ではオープンバイトをそのままにしておくと、どのような悪影響が出てしまうのでしょうか。

 

オープンバイトについて

 

不正咬合には出っ歯や受け口、過蓋咬合などがあり、いずれも審美性を大きく乱します。そんな中、「オープンバイト」という不正咬合をご存じでしょうか。

 

正しい噛み合わせは、奥歯で噛んだ時に臼歯部と上下の前歯がきちんと噛み合っている状態を言います。

 

しかし奥歯で噛んだ時に上下の前歯にすき間が生じてしまう噛み合わせがあります。それを「オープンバイト」または「開咬」と言い、不正咬合と診断されます。正しい噛み合わせは奥歯で噛んだ時、上の前歯が下の前歯を2,3ミリ覆っている状態を言います。

 

しかしオープンバイトの場合、前歯が噛み合わずすき間が生じてしまいます。

 

オープンバイトになると、まず前歯で食べ物を噛み切ることができません。ほんの少しの隙間なら辛うじて噛み切ることができることもありますが、すき間が広い場合、麺類やレタスなどといった食材を前歯で噛み切ることが困難になり、食事に不自由を感じてしまいます。

 

オープンバイトになる原因とは?

 

オープンバイトになる原因はいくつか考えられます。その原因とはいったい何でしょうか。

 

①遺伝によるもの・・・骨格は遺伝しやすい傾向にあります。両親のどちらかがオープンバイトの場合、お子さんに遺伝する可能性も考えられます。

 

②舌癖・・・幼少期の癖がオープンバイトを導いてしまうことがあります。そのひとつが舌による癖です。舌を突き出す、舌で前歯を押すといったような癖があると歯が押され、オープンバイトになることがあります。

 

③指しゃぶり・・・指しゃぶりというと、出っ歯のイメージが強いかもしれません。しかし指しゃぶりは出っ歯だけでなく、オープンバイトのリスクも持っています。幼少期の長期間にわたる指しゃぶりは、不正咬合の元凶とも言えるでしょう。

 

④口呼吸・・・この口呼吸も、様々な不正咬合の原因になり、オープンバイトも例外ではありません。口周りの筋肉の弛緩により、無意識に口が開いて呼吸をするタイプと、副鼻腔炎やアデノイドなど病的なものが原因のタイプがあります。

 

⑤顎関節に負担がかかりやすい・・・オープンバイトは奥歯に負担がかかるため、必然的に顎関節にも影響が出やすくなります。顎がだるい、痛いなどの症状が出たら、要注意です。

 

オープンバイトによる悪影響とは?

 

ではオープンバイトをそのままにすることで、お口の中にどのような悪影響が出てしまうのでしょうか。

 

①前歯で食べ物を噛み切れない・・・先ほども述べましたが、オープンバイトになると前歯が噛み合わず、前歯で噛み切って食べることができません。

 

②奥歯に負担がかかる・・・前歯で噛めない分、奥歯に負担がかかりやすくなります。そのため歯が欠ける、補綴物が外れるなど奥歯に様々な影響を与えてしまいます。また負担がかかる分、歯槽骨が吸収されて歯周病でないのに歯が揺れてしまうことがあります。

 

③発音が不明瞭になる・・・前歯の間にすき間があることで空気が漏れやすく、発音が不明瞭になりがちです。特に「サ行」「タ行」に影響が出やすいため、話す相手に舌足らずのような印象を与えてしまいます。

 

④口呼吸になり、口の中が乾く・・・オープンバイトだから口呼吸になるのか、口呼吸だからオープンバイトになってしまったのか、ということになるかもしれませんが、オープンバイトは口が閉じにくく、無意識に口が開いてしまいがちになります。そのため口呼吸になり、お口の中が乾燥して細菌が増殖しやすくなります。特に虫歯リスクが高まり、虫歯が作られやすい口内環境になってしまいます。

 

オープンバイトの改善法について

 

噛み合わせや顎関節などに大きな影響を与えるオープンバイトの改善法は、まず歯列矯正が考えられます。矯正装置を付けて奥歯の噛み合わせを整えることで、正しい噛み合わせに改善できるケースもあります。

 

しかし歯列矯正で改善が難しい場合、外科治療も視野に入れる選択肢が出てきます。ただ外科治療はリスクも伴うことを理解しておく必要があります。

 

また舌癖が原因の場合、併せて舌のトレーニングも行うなど、オープンバイトは難しい噛み合わせです。前歯で食べ物が噛めない、上下の隙間が気になるという方はそのままにしておかず、早めにかかりつけ医に相談することが大切です。

 

 

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はぴねす歯科院長

コラム監修者

はぴねす歯科緑地公園駅前クリニック 院長 松浦 裕矢

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