可愛い乳歯はサイズも小ぶりで、色も乳白色です。そのため乳歯列のお子さんの笑顔は、歯の白さが際立ちますよね。
しかし生え変わった永久歯は黄色味が強く、正直あまりきれいな色とは言えません。また永久歯の歯の色を見て、「歯の病気なんじゃないか」と心配される親御さんもいらっしゃると思います。では生えてきた永久歯は、なぜ乳歯よりも黄色いのでしょうか。
永久歯が黄色い理由
白く可愛らしい乳歯が抜け、後から生えてきた永久歯は前歯、小臼歯と形態は同じですが、乳歯と色が違います。なぜ永久歯の色が黄色いのか、それは歯の構造に由来します。
歯は表面のエナメル質、内部の象牙質、象牙質の内側の歯髄(神経や血管が通っているところ)から成り立っています。
生えたばかりの永久歯のエナメル質はまだ未完成で薄い半透明色をしており、だんだんエナメル質が厚く、丈夫になってきます。
内部の象牙質は濃い黄色をしており、年齢を重ねるにつれ少しずつ濃さが増してきます。
つまり生えてきたばかりの永久歯はエナメル質が薄いため、内部の象牙質の濃い黄色が透けて見えます。このことが、生えたての永久歯が黄色く見える原因です。
エナメル質は半透明ですが、乳歯はエナメル質が不完全なため、白い色をしています。そのため乳歯の象牙質が透けることなく、真っ白く、あるいは青みがかった白に見えるのです。
乳歯と生えたての永久歯が並んでいると、その差にびっくりすることと思いますが、正常な状態なので心配はいりません。
乳歯、生えたての永久歯で気をつけるべきこととは?
まだ小さいお子さんの歯の健康は、お子さんご自身で守ることはできません。そのためちょっとした歯のトラブルも見逃してしまうため、自分で管理ができる年齢になるまでは、親御さんが注意深く見てあげることが必要です。
まず乳歯はエナメル質が弱いため、虫歯菌がお口の中に入ると、あっという間に虫歯だらけになってしまいます。
虫歯の前段階として、エナメル質が酸で溶け始める「脱灰」という応対がまずサインとなりますが、乳歯は乳白色のため、そのサインを見逃しやすいのです。
脱灰なら歯を削ることなく治癒を期待できますが、いざ歯が溶け始めると、それなりの治療が必要になってしまうのです。
また生えたての永久歯もエナメル質がまだ未熟で、虫歯リスクが高い状態で成長を続けることになります。
歯の色だけに気を取られていて、肝心の虫歯対策を怠ってしまうと、元も子もありません。特に永久歯はもう生え変わることは二度とありませんので、きちんとしたケアと、定期的な検診で歯の健康を維持してあげることがとても重要になってきます。
歯の黄色さは気にならない程度になってきます
生えたての永久歯は未熟なエナメル質により黄色く見えますが、成長とともにエナメル質も丈夫になってくるため、色味はだんだん気にならなくなってきます。
また定期的なクリーニングで、歯の表面に付いた汚れやプラークを取り除くことで、自然な歯の色身をキープすることができます。
歯の色に捉われず、お子さんの歯の健康を注意深く見守ってあげましょう。そして気になる症状がある場合、小児歯科を得意としている医院に相談してください。
コラム監修者
はぴねす歯科緑地公園駅前クリニック 院長 松浦 裕矢
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