「小児矯正で顎を広げる理由」について気になっている方がいるのではないでしょうか?小児矯正について調べていると「顎を広げなければならない」や「顎を広げた方がうまくいく」という情報を目にしたことがありますよね。

しかし、どういった理由や背景から顎を広げた方がいいと言っているのか気になりますよね。他にも以下のような点も気になっていませんか?

  • 「小児矯正で顎を広げる理由やメリットは何?」
  • 「顎を広げるのは良くないのでは?」
  • 「顎を広げるリスクはあるの?」
  • 「顎を広げると顔が大きくなるのではないか?」

成長期の子供だからこそ、顎を広げておく方が鼻呼吸がしやすくなったり、永久歯になった際の歯並びが綺麗になったりと将来的にお子さんが悩む可能性が低くなるでしょう。

そして、顎を広げると顔が大きくなるといわれていますが、顎を広げる治療は歯の生える位置を調整するだけなので、顔の輪郭は変わりません。

しかし、顎を拡大するのは無理やり力を加えておこなうため、多少の痛みが伴います。こういった質問に対して、今回は以下のトピックについて解説します。

  • 小児矯正で顎を広げる理由
  • 小児矯正で顎を広げるメリット
  • 小児矯正で顎を広げるデメリット
  • 小児矯正で顎を広げる治療に関するよくある質問

この記事は小児矯正で顎を広げる理由や小さいころに顎を広げるべき理由や注意するポイント、さらに顎を広げる際によくある質問についてもまとめて解説します。お子さんの歯並びを早いうちからきれいにしてあげて、将来的に歯で悩んでほしくないと考えている親御さんはぜひ参考にしてください。

小児矯正で顎を広げる理由


小児矯正で顎を広げるのは大人になった際に、大人の歯を並べるためです。最近の子供は昔の子供よりも歯自体の大きさが大きくなったこともあり、大人の永久歯に生え変わった際には今までよりも大きな顎が必要になりました。

そして上あごの成長は10歳〜12歳程度で決まり、顎を大きくするならこのタイミングで治療をするしかありません。こういった理由から幼い時期から小児矯正を通じて顎を広げる必要があるのです。

小児矯正で顎を広げる拡大床(拡大装置)とは?

ここからは実際に顎を広げるための装置について解説します。拡大床とは上あごを広げるための装置で、歯を並べるためのスペースが足りない時に使われる方法です。

「急速拡大法」と「緩徐拡大法」の2種類の拡大床を使った矯正方法があります。急速拡大法は子供の成長期の成長速度を利用して、比較的短期間で上あごの横幅を広げる装置です。

2週間〜2カ月程度装着します。緩徐拡大法は1年〜2年程度の時間をかけて徐々に歯列を広げていくため、急速拡大法よりも痛みの負担が少ないので、頻繁に用いられる方法でもあります。

一方で、急速拡大法は緩徐拡大法に比べて痛みが強いものの、より広いスペースを作れるのでどの方法で顎を広げるのかをお子さんとじっくり検討しましょう。お子さんの小さな顎を広げる装置について親御さんがまずは理解して、未然にリスクや注意点を抑えておきましょう。

顎を広げるメカニズム

そもそもお子さんの上あごには成長期でまだくっついていない2つの骨があります。その2つの骨が完全にくっつく前に拡大床によって力を加えて拡大させるという仕組みです。

具体的に顎を広げるのは拡大床についている真ん中に拡大ねじという長さを調整できるねじとそれにつながった2つの金属の輪っかを左右の歯の裏側に取り付けておこないます。成長期でまだくっついていない2つの骨が完全にくっつく前に力を加えて拡大させるという仕組みです。

拡大する長さや頻度は1日に0.2mm程度の長さを2回広げていきます。1日に0.4mm程度広げていく習慣を2週間〜3週間程度おこない、拡大しきったら、新しい骨ができて安定するまで、3カ月程度つけたまま過ごしていく流れです。

小児矯正で顎を広げるメリット


小児矯正で顎を広げるメリットは主に2つあります。子供の時ならではのメリットもあるので、しっかり抑えておきましょう。

骨格と歯列を整えられる

小児矯正のような幼い時期に顎を広げると骨格と歯列のアンバランスを同時に改善できます。また永久歯が生えそろう前(混合歯列期)よりも前に治療を開始できれば、先に永久歯が生えそろうスペースを確保できるので、今後矯正治療で抜歯する必要がありません。

特に上あごの成長は10歳〜12歳ごろで決まってしまうので、小児矯正を始めるなら、早く始めた方がいいでしょう。

鼻呼吸しやすくなる

小児矯正で顎を広げると鼻呼吸がしやすくなります。これは上あごを広げることにより、空気の通り穴である鼻腔も広がり、鼻呼吸がしやすくなるからです。

口呼吸をしないだけで虫歯になりにくかったり、口臭を防げたり、面長になりにくかったりと将来的にメリットが大きいでしょう。口呼吸は一度癖になるとなかなか改善するのが難しいので、まだ子供の段階で鼻呼吸を癖づけるようにするのが一番おすすめです。

小児矯正で顎を広げるデメリット


小児矯正で顎を広げる場合に使用するデメリットについても解説します。顎を広げる際に使用する拡大床という矯正装置には主に以下の2つのデメリットがあるので、しっかり理解しておきましょう。

装置による違和感

拡大床を装着するとどうしても歯に接着剤で固定するので、これまでとは違った違和感が現れやすいです。

具体的に発音がしにくかったり、飲み込む動作が難しかったり、鼻や口元にツンと痛みが走るといったストレスを感じるかもしれません。ただし、2週間以上経過するとそういった違和感が消えていきます。

虫歯や歯周病のリスクがある

装置を装着するとワイヤーやねじの部分に汚れがたまりやすいので、虫歯や歯周病のリスクが高くなりやすいです。

小さな子供が治療をすることからも仕上げ磨きや間食を控えさせたりといった家族の協力が最も効果的な対策でしょう。拡大床は取り外しできないので、歯のケアには注意するようにしましょう。

小児矯正で顎を広げる治療に関するよくある質問


小児矯正で顎を広げることに関するよくある質問についてもまとめておきます。あらかじめよくある質問を抑えておくだけでも、治療の不安や理解が変わるので気になる質問だけでも見ておきましょう。

顎を広げることによる効果はある?

顎を広げることの効果は主に以下の3つです。

  • 上あごの成長を促し、骨格や歯列のアンバランスを改善できる
  • 将来的に抜歯するリスクが低くなる
  • 空気の通り穴の鼻腔が広がり、鼻呼吸がしやすい

顎を広げるメリットは将来的に考えると大きくなるため、治療するなら早めに動いた方がいいでしょう。広げられるのも子供の成長期でないといけなかったりと制限があるので、お子さんの意思も確認しながら決めていくとよいです。

顎を広げる治療の費用はいくら?

顎を広げる治療の費用は基本的に保険適用外なので自己負担になり、費用は一般的に50万円ほどになります。ただし、顎をどれくらい広げる必要があるのか個人差があったりするので、最終的には歯科医師に直接見てもらう必要があります。

小児矯正と別で費用がかかるので、小児矯正を始めるときにあらかじめ追加の50万円の可能性を考えておきましょう。

顎を広げることによる痛みはある?

顎を広げる際に矯正器具を装着すると最初のうちは押されているような圧迫感から多少痛みがあるでしょう。しかし、数日すればすぐに痛みは消えるので問題ないと感じる方が多いです。

また矯正器具のねじを回した際も顎を広げようとする力が加わるので数日間は違和感を覚えますが、すぐになくなります。

顎を広げる矯正は何歳まで?

顎の矯正をおこなえるのは顎が成長途中である7歳〜12歳程度までです。上あごは成長が早く、12歳程度で成長が止まり、15歳以降は下あごも含めて、ほとんど顎の成長が止まってしまうので、広げられません。

外科的な手術により成人してからも顎を広げられますが、費用が非常に大きく、負担が大きいので、顎の成長期間中に治療を受ける方がおすすめです。

顎を広げる矯正は顔が大きくなる?

顎を広げても歯の生える位置が変わるだけで顔の輪郭は変わらないので顔が大きくなるわけではありません。

また歯並びをよくすることで本来の正しい位置に口の周りの筋肉が正しくつき、顔が小さく見える可能性があります。このように顎を広げても顔が大きくなったり、大きく見える可能性は低いので安心しましょう。

顎を大きくする食べ物はある?

顎を大きくさせるには噛む回数を増やさせる食べ物を食べた方がいいです。具体的にはたけのこ、れんこんやゴボウなどの根菜類、リンゴや人参などの硬い果物、アーモンドやナッツ、くるみなどのナッツ類も効果的でしょう。

またキノコ類やわかめ、昆布などの海藻類も顎を成長させる食べ物なので、積極的に食べた方がいいです。他にも調理方法を変えて、普段よりも大きく食材を切るだけでも効果があるので、取り入れられる点から取り入れていきましょう。

まとめ

小児矯正で顎を広げる治療は歯列と骨格を整えられたり、将来的に永久歯が生えてきたときに歯並びがきれいになったり、鼻呼吸がしやすかったりとメリットが非常に大きいです。成長が早く、骨も柔らかい子供だからこそ、顎を拡大させる治療は早めに多少の痛みが伴っても治療を開始するべきでしょう。

他にも気になる疑問をよくある質問としてまとめたので、疑問や不安点を一つでも解決してから歯科医師に相談しに行くとよいです。ただし、最後はお子さんが受ける治療なので、お子さんの意思を尊重するようにしましょう。

はぴねす歯科院長

コラム監修者

はぴねす歯科緑地公園駅前クリニック 院長 松浦 裕矢

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