「歯並びを治したいけど、歯列矯正は時間もお金もかかる」
「もう歯の悩みから解放されたいから入れ歯にしてしまいたい」
歯磨きが面倒だったり、すぐに見た目を改善したかったりすると、入れ歯にすることで改善できると思う方もいるかもしれません。
しかし、入れ歯にも痛みや煩わしさは存在します。
1度抜いた歯は2度と元には戻らないため、安易な気持ちで健康な歯を抜歯することはおすすめできません。
そこで本記事では、以下の内容について解説します。
- 悪い歯並びを治す入れ歯の選択肢
- 入れ歯を考える前に知るべきポイント
- 歯並びが悪い人が総入れ歯にしたいと思う理由
- 歯を抜くリスク
- 悪い歯並びの改善方法
入れ歯にして歯並びを改善したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
悪い歯並びを治す入れ歯の選択肢
悪い歯並びを治す入れ歯の選択肢には、以下の2つがあります。
- 総入れ歯
- 部分入れ歯
順番に説明します。
総入れ歯
総入れ歯とは、すべての歯を失ってしまった場合に使用する入れ歯で、歯茎に密着させて装着します。
総入れ歯は大きく、口の中に入れることで不快な思いをする方も少なくありません。
また、合わない総入れ歯をつけた場合、歯茎に傷がついたり、食べ物が噛みにくくなったりする可能性があります。
部分入れ歯
部分入れ歯とは、一部分の歯を失った場合に使用する入れ歯のことをいいます。
固定するためのバネを、残っている歯に引っ掛けて装着します。
総入れ歯に比べると小さく、口の中に入れた際の不快感も少ないです。
歯茎に傷が付いたり、食べ物が噛みにくくなったりする可能性があります。
入れ歯を考える前に知るべきポイント
「入れ歯にすることで歯並びが綺麗になり、歯の痛みや違和感から解放される」
そう思っている方もいるかもしれません。
しかし、入れ歯は自分の歯のように噛むことは難しかったり、歯茎に合わず傷ができたりするなど、特有の不快感や痛みがあります。
1度抜いた歯を元に戻すことはできません。
安易に健康な歯を抜いて入れ歯にする選択は、避けた方が良いでしょう。
歯並びが悪い人が総入れ歯にしたいと思う理由
歯並びが悪い人が総入れ歯にしたいと思う理由は、以下の5つが考えられます。
- 歯磨きが面倒
- すぐに見た目を改善したい
- 治療が必要な歯が複数ある
- 食事がしづらい
- 部分入れ歯が合わない
それぞれ説明します。
歯磨きが面倒
自分の歯がある場合、1日3回毎食後の歯磨きが推奨されます。
歯磨きをしなければ、虫歯や歯周病が進行したり口臭の原因になったりします。
そのため、歯磨きをしなければならないとわかっていながらも、面倒だと感じる方もいるでしょう。
歯を抜いて総入れ歯にすれば、歯磨きの手間がなくなり、虫歯や歯周病、口臭の心配もなくなると考えている可能性があります。
すぐに見た目を改善したい
見た目の印象を大きく左右する歯並び。
歯並びの悪さを気にしている方は、すぐに見た目を改善したいと思うのではないでしょうか。
入れ歯はすぐに出来上がるわけではなく、さまざまな工程があります。
完成後も複数回調整が必要かもしれません。
また、将来的に割れたり、作り替えたりしなければならない可能性もあり、不便を感じることもあるでしょう。
治療が必要な歯が複数ある
治療が必要な歯が複数ある場合、治療期間が長くなってしまいます。
通院する時間がない方や、面倒だと感じる方は、すべて歯を抜いて総入れ歯にしたいと思うかもしれません。
また、歯がある限り虫歯や歯周病は避けられないと考えているのではないでしょうか。
しかし、歯を抜いて総入れ歯にする治療も、複数回の通院や将来的な作り替えもあることを、理解しておく必要があるでしょう。
食事がしづらい
歯周病が原因で歯を支える骨がなくなると、歯がグラグラと動きます。
歯がグラグラすると、食べ物が噛みにくく、痛みを感じる場合もあるでしょう。
やわらかい食べ物ばかりを選択しなければならず、QOL(生活の質)が低下します。
残っている歯がすべてグラグラしている場合は、抜いて総入れ歯にすることで、食事がしやすくなる可能性があります。
しかし、健康な歯がある場合には、グラグラしている歯だけを抜いて、部分入れ歯やブリッジなどの選択をした方が良いでしょう。
歯科医師としっかりと話し合い、より食事がしやすい治療を選択することをおすすめします。
部分入れ歯が合わない
総入れ歯と違い部分入れ歯にはバネがあり、そのバネを歯に引っ掛けて入れ歯を固定します。
バネは金属でつくられているため、見た目が気になる方や、バネを引っ掛けた歯に締め付け感があり、違和感を感じる方もいるでしょう。
このような理由から、総入れ歯にしたいと思う方もいるのではないでしょうか。
しかし、バネは調整できますし、金属のバネはノンクラスプデンチャーにすることで改善できます。
ノンクラスプデンチャーとは、金属のバネがない自費の入れ歯です。
保険でつくる入れ歯に比べると費用がかかりますが、仕上がりは綺麗で満足される方が多いです。
歯を抜く前に1度検討してみてはいかがでしょうか。
歯を抜くリスク
歯を抜くリスクは以下の5つがあります。
- 歯並びが崩れる可能性がある
- 顎の骨が痩せる
- 出血や痛み、腫れが生じる
- ドライソケット
- 神経損傷
順番に詳しく説明します。
歯並びが崩れる可能性がある
歯を抜くと、空いたスペースに周りの歯が移動します。
歯の移動によって歯の隙間が目立ったり、噛み合わせに変化が生じて噛みにくさを感じたりする可能性があります。
さらに歯並びが乱れ、噛みにくさを感じる場合があるため、不要な抜歯はおすすめできません。
顎の骨が痩せる
顎の骨は歯があることで、高さや幅を維持できているため、歯を抜くと顎の骨が次第に痩せていきます。
このような理由から、親知らずを抜くと小顔になるといわれています。
しかし、骨の痩せ方は予想がつきにくいものです。
複数の歯を抜いた場合、想像以上に痩せてしまい、やつれた印象になる可能性もあるため、注意しなければなりません。
出血や痛み、腫れが生じる
歯は歯茎と癒着しているため、抜くときに出血があります。
麻酔をするため、抜くときの痛みはありませんが、麻酔が切れた後には痛みや腫れが生じるでしょう。
抜いて3日ほどは、化膿止めや痛み止めを服用する必要があるでしょう。
ドライソケット
ドライソケットとは、抜いた歯の穴に骨がむき出しになっている状態をいいます。
歯を抜いた後は、血餅という血の塊がつくられますが、うがいのし過ぎや免疫力低下などが原因で、血餅がはがれたりうまく作れなかったりする場合があります。
その結果がドライソケットです。
ドライソケットは通常の抜歯後に比べて、強い痛みが長く続く特徴があります。
神経損傷
下の歯を抜く場合、下顎の骨を通る神経を傷付けてしまう可能性があります。
神経を傷付けると、顔に触れる感覚が鈍くなったり、舌がしびれたりする場合もあります。
不快感を伴う場合が多いため、歯の痛みや噛みにくさがある場合を除いては、安易に抜歯することはおすすめできません。
悪い歯並びの改善方法
悪い歯並びの改善方法には、以下の4つの方法があります。
- 部分入れ歯
- 総入れ歯
- 矯正治療
- インプラント
順番に説明します。
部分入れ歯
歯の一部分がない場合、部分入れ歯によって歯並びを改善できる可能性があります。
特に、見た目が目立ちやすい前歯では、部分入れ歯を入れることで整った歯並びになるでしょう。
保険診療の部分入れ歯はバネが目立ちやすいですが、自費診療ではバネが目立ちにくい部分入れ歯もあります。
歯科医院で相談してみましょう。
総入れ歯
残っているすべての歯が抜歯対象の場合、総入れ歯によって歯並びが綺麗に見えるでしょう。
しかし、部分入れ歯の方が、バネがついていることで安定しやすいため、いきなり総入れ歯にすることはおすすめできません。
もし、グラグラしていても痛みがない歯があれば、抜かずに部分入れ歯を装着した方が良い場合もあります。
1度歯を抜くと、元には戻らないため、歯科医師としっかりと相談して決める必要があるでしょう。
矯正治療
矯正治療は、矯正装置を使用して少しずつ歯を動かし、歯並びを整える方法です。
2〜3年の治療期間を必要としますが、多くの歯を残して悪い歯並びを改善できるというメリットがあります。
矯正方法には、ワイヤー矯正やマウスピース矯正、部分矯正などがあります。
部分矯正は前歯だけを治したい方におすすめです。
全体矯正に比べると治療期間も費用も抑えられるでしょう。
インプラント
インプラントとは、歯を失った顎の骨にインプラント体とよばれる人工歯根を埋め込み、そこに人工歯を装着する方法です。
自費診療のため、費用はかかりますが、自分の歯のように噛めたり、見た目を整えたりする効果があります。
歯科医院によって費用や使用する素材も違うため、しっかりとカウンセリングを受けて行った方が良いでしょう。
まとめ
入れ歯によって悪い歯並びを改善する場合、健康な歯を抜く可能性があります。
歯を抜くことによって、歯並びが崩れたりドライソケットになったりする可能性があるため、安易に抜くことを選択しない方が良いでしょう。
入れ歯にも歯茎の痛みや違和感、噛みにくさがあります。
1度抜いた歯は元には戻らないため、もし入れ歯が気に入らない場合でも、一生入れ歯とともに生活しなければなりません。
歯並びを治したい場合には、矯正治療やインプラントなどもあるため、歯科医師とよく相談して、後悔しない治療方法を選択をしましょう。

コラム監修者
はぴねす歯科緑地公園駅前クリニック 院長 松浦 裕矢
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