「八重歯って、なんだか可愛らしく見えるよね」
そう感じる方も少なくありません。
確かに、八重歯には独特の魅力があり、アイドルやモデルのチャームポイントとして扱われることもあります。
しかし、見た目の印象だけで判断するのは危険かもしれません。
八重歯は、歯並びが乱れているサインのひとつです。
見た目だけでなく、虫歯や歯周病のリスク、噛み合わせの問題、さらには口臭やコンプレックスといった、さまざまなトラブルの原因になることもあります。
そこで本記事では、以下の内容について解説します。
- 八重歯は綺麗な歯並びに治せる?
- 八重歯の原因
- 八重歯を放置するリスクやデメリット
- 八重歯の治し方
- 八重歯に関するよくある質問
矯正を考えている方や、子どもの歯並びに不安を感じている保護者の方にも、役立つ内容をお届けします。
八重歯は綺麗な歯並びに治せる?
結論から言えば、八重歯は矯正治療によって綺麗に整えることが可能です。
昔は「八重歯は個性」「治すのはもったいない」といった意見も多くありましたが、現在では見た目だけでなく、健康リスクの観点からも治療を検討する人が増えています。
特に歯科矯正が一般的になった現代では、子どもだけでなく大人でも八重歯の治療を受けるケースが珍しくありません。
治療法もワイヤー矯正からマウスピース矯正まで選択肢が広がっており、自分に合った方法で改善を目指すことができます。
八重歯の原因
八重歯の原因は、以下の5つです。
- 顎の小ささ、歯の大きさ
- 生え変わりのタイミング
- 遺伝
- 過剰歯
- 食習慣
順番に説明します。
顎の小ささ、歯の大きさ
もっともよく見られるのが、顎の大きさと歯の大きさのバランスが取れていない場合です。
顎が小さいと、永久歯がきれいに並ぶスペースが確保できません。
その結果、前歯が押し出されたり、上にずれて生えてきたりして、八重歯のような歯並びになってしまいます。
特に日本人は欧米人に比べて顎が小さい傾向があるため、八重歯が目立ちやすいと言われています。
生え変わりのタイミング
小学校低学年のうちに乳歯がなかなか抜けずに残っていると、本来の位置に永久歯が並べなくなることがあります。
前歯が後ろに生えてきたり、横の歯に押されて傾いたりするのは、よくある相談のひとつです。
このようなケースは、家庭で気づくのが難しいこともあるため、生え変わりが始まる6歳ごろから、定期的に歯科で確認してもらうのがおすすめです。
少しのタイミングのズレが、歯列の乱れにつながることもあるので、注意して見守りましょう。
遺伝
歯並びや顎の大きさは、ある程度遺伝的な要因も関係しています。
親が八重歯だった場合、子どもにも同じような歯並びが見られることは少なくありません。
ただし、遺伝であっても早期の介入や矯正で改善は可能です。
家族に同じ傾向がある場合は、より注意深く経過を見守ることが大切です。
過剰歯
過剰歯とは、本来生えるべき本数以上に歯ができてしまう状態を指します。
余分な歯が一本加わるだけで、周囲の歯が押し出され、きれいに並ぶはずだったスペースが足りなくなることがあります。
食習慣
柔らかいものばかりを食べる習慣や、噛む回数が少ない食生活も、顎の発達を妨げる一因とされています。
成長期に顎が十分に発達しないと、永久歯が並ぶスペースが不足しやすくなります。
日頃からしっかり噛んで食べる習慣をつけることも、将来的な歯並びの予防に役立ちます。
八重歯を放置するリスクやデメリット
八重歯を放置するリスクやデメリットは、以下の5つです。
- 虫歯や歯周病のリスク増加
- 噛み合わせの悪化
- 口腔内の外傷
- 口臭の原因
- 審美的なコンプレックス
それぞれを解説します。
虫歯や歯周病のリスク増加
歯が重なっている部分は、歯ブラシが届きにくいため、プラーク(歯垢)がたまりやすくなります。
結果として、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
毎日の歯磨きでは限界があるため、定期的なプロのクリーニングや、歯列の改善が必要になるケースもあります。
とくに歯周病は自覚症状が出にくいため、気づいたときにはかなり進行していることも少なくありません。
噛み合わせの悪化
八重歯があると、上下の歯がうまくかみ合わず、物を噛むときに力が均等に伝わらなくなります。
「なんとなく噛みにくい」と感じていたら、それが噛み合わせの乱れによるものかもしれません。
その状態が続くと、あごの関節に負担がかかり、口を開けたときに音が鳴ったり、あごが痛んだりすることがあります。
ひどくなると、肩こりや頭痛といった全身の不調につながることもあるため、注意が必要です。
口腔内の外傷
八重歯が前に出ていると、口の中を傷つけることがあります。
特に、食事中や就寝時、無意識に動いた舌や唇が当たってしまうと、思いがけないケガにつながることもあります。
たとえ小さな傷でも、口の中は刺激が多いため、痛みを感じやすいのが特徴です。
繰り返し同じ場所に傷ができると、治りにくくなり、口内炎を引き起こす原因になることも。
「食べたいのにしみる」「しゃべるのがつらい」と感じるようになると、日常生活にストレスが積み重なってしまいます。
こうしたトラブルを防ぐ意味でも、歯並びの見直しは大切です。
口臭の原因
歯が重なっている部分は、どうしてもブラシが届きにくくなり、汚れが残りやすくなります。
そのままにしておくと、細菌が増え、口の中で不快なにおいを発する原因になることがあります。
特に、歯ぐきが腫れていたり出血しやすいような場合には、歯周病のサインが隠れていることも。
進行すると、本人も気づきにくい強いにおいが出てしまうこともあるのです。
「きちんと磨いているのに気になる」そんなときは、歯並びの影響も視野に入れてみてください。
見た目の問題にとどまらず、身だしなみや人間関係にも関わる部分だからこそ、根本から整えることが大切です。
審美的なコンプレックス
見た目の問題で、人前で口元を隠してしまう方もいます。
笑顔に自信が持てず、性格まで消極的になってしまうこともあるかもしれません。
矯正治療で歯並びが整うと、自然に笑顔が増え、人とのコミュニケーションも前向きになります。
「歯を見せて笑えるようになった」と喜ぶ患者さんも多く、人生の質に関わる大きな変化となるでしょう。
八重歯の治し方
八重歯の治し方は、以下の2つです。
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
順番に説明します。
ワイヤー矯正
金属やセラミック製の「ブラケット」と呼ばれる装置を歯の表面に取りつけ、そこにワイヤーを通して歯を少しずつ動かしていくのが、ワイヤー矯正の仕組みです。
複雑な八重歯やスペースの足りない歯並びにも対応しやすく、しっかりとした矯正力が期待できます。
昔は「目立つから恥ずかしい」と思われがちでしたが、今では白や透明のパーツを選べるようになり、以前より気になりにくくなりました。
歯の状態に合わせて微調整しながら進められるため、細かなズレにも柔軟に対応できるのが大きな魅力です。
場合によっては抜歯をともなうこともありますが、噛み合わせ全体をバランスよく整えたい方には、頼りになる治療法といえるでしょう。
マウスピース矯正
薄くて透明な素材で作られたマウスピースを使い、段階的に歯を動かしていくのがこの治療の特徴です。
見た目が自然で、つけていることに気づかれにくいため、人前に立つ機会が多い方にも選ばれています。
食事のときには取り外せるので、装着中に食べ物が詰まる心配もなく、普段通りに歯を磨けるのも嬉しいポイントです。
ただし、すべての症例に対応できるわけではありません。
歯の移動量が大きい場合や、抜歯が必要と判断されたケースでは、別の方法が検討されることもあります。
どの治療法が適しているかは、見た目だけでなく歯の状態や骨格なども含めて判断されます。
気になる場合は、矯正の経験が豊富な歯科医師に一度相談してみるとよいでしょう。
八重歯に関するよくある質問
八重歯に関するよくある質問は、以下の3つです。
- 八重歯は矯正したほうがいいですか?
- 八重歯の矯正はいくらくらいしますか?
- 八重歯は自力で治せますか?
順番に回答します。
八重歯は矯正したほうがいいですか?
今すぐ健康に影響がない場合、絶対に治さなければいけないというわけではありません。
ただし、歯が重なっていると汚れが溜まりやすく、将来的に虫歯や歯周病のリスクが高くなることがあります。
噛み合わせのズレや口臭など、思わぬところに影響が出てくるケースも少なくありません。
さらに、見た目が気になって笑えなかったり、人と話すのが苦手になったりするなど、精神的なストレスにつながることもあります。
体の健康だけでなく、気持ちの面も含めて、「今の自分がどう感じているか」を大切にして判断するのが良いでしょう。
八重歯の矯正はいくらくらいしますか?
費用は、どんな治療方法を選ぶかや、通う歯科医院の方針によって大きく異なります。
「これくらいです」と一言で言えないのが、少し悩ましいところです。
目安としては、ワイヤー矯正でおよそ70万〜90万円ほどかかるケースが多く、歯を大きく動かすような場合にはそれ以上になることも。
マウスピース矯正は装置の作成コストがかかるため、80万〜100万円程度とやや高めに設定されていることが多いようです。
八重歯は自力で治せますか?
自分で歯を動かそうとするのはかなり危険です。
歯の根っこや周囲の骨はとても繊細で、自己流で力をかけてしまうと、歯ぐきが傷ついたり、歯がぐらついてしまったりすることもあります。
SNSなどで見かけるセルフ矯正の動画が人気を集めることもありますが、歯科の専門家から見ると、冷や汗が出るような内容も少なくありません。
本気で治したいと思ったときこそ、歯科医師の力を借りるのがいちばん安心です。
見た目を整えるだけでなく、かみ合わせや将来の健康まで考えた治療が受けられるのは、やはりプロだからこそできることです
まとめ
「八重歯=可愛い」と言われることもありますが、実際にはさまざまな問題が潜んでいます。
歯が重なることで磨き残しが増え、虫歯や歯周病、口臭、噛み合わせの不調といったリスクを抱えることになります。
原因は遺伝や顎の大きさ、生活習慣など多岐にわたり、気づかないうちに悪化していることもあります。
しかし、矯正治療を通じて改善することは十分に可能です。
治療には費用も時間もかかりますが、見た目だけでなく機能面や将来の健康にも良い影響を与えてくれます。
この記事を読んで、八重歯について少しでも理解が深まり、「今できることを考えてみよう」と思っていただけたなら幸いです。

コラム監修者
はぴねす歯科緑地公園駅前クリニック 院長 松浦 裕矢
大阪大学歯学部を経て、兵庫県内の医療法人、はぴねす歯科石橋駅前クリニックで勤務した後、現在ははぴねす歯科緑地公園駅前クリニックの院長を務めています。患者様一人ひとりの希望と健康に合わせた最適な治療を提供し、治療前にはしっかりと説明を行い、納得の上で進めています。矯正治療やセラミック治療を中心に、患者様の希望に寄り添った治療プランを提供し、日々患者様の健康をサポートしています。
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