「また口内炎ができた」「同じところが何度も傷つく」
そんなお悩みを抱えていませんか?
実は、歯並びの悪さが口内炎の原因になっていることがあります。
歯列が乱れていると、粘膜への刺激が増えるだけでなく、口腔内の清潔を保ちにくくなるため、知らないうちに炎症が繰り返されることも少なくありません。
そこで本記事では、以下の内容について解説します。
- 歯並びが悪いと口内炎ができやすい理由
- 口内炎が続く場合のリスク
- 口内炎になりやすい歯並び
- 悪い歯並びによる口内炎の対処方法
- 口内炎の対処法
繰り返す口内炎に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
歯並びが悪いと口内炎ができやすい理由
歯並びが悪いと口内炎ができやすい理由は、以下の3つです。
- 物理的な刺激による損傷
- 口腔衛生環境の悪化
- 咀嚼機能の低下
順番に解説します。
物理的な刺激による損傷
歯並びが整っていないと、歯が内側に飛び出していたり、尖った部分ができていたりすることがあります。
そうした歯が、話しているときや食べているときに、頬や唇の内側に当たってしまうことも少なくありません。
とくに鋭くとがった歯が同じ場所に何度も触れると、粘膜がすり減るようにダメージを受け、やがて小さな傷になります。
その傷口に細菌が入り込むと、炎症が起き、口内炎につながってしまうケースがあるのです。
気づかないうちに繰り返されるこの刺激が、口腔内トラブルのもとになることも多く、軽視できません。
口腔衛生環境の悪化
歯並びが悪いと、どうしても歯ブラシが届きにくい箇所が出てきます。
歯と歯の間や、重なっている部分に食べかすやプラーク(歯垢)が残りやすくなり、細菌が繁殖する温床になってしまうのです。
その結果、粘膜の免疫が下がり、わずかな刺激でも炎症が起こりやすくなります。
特に、口内炎はストレスや疲れといった全身的な要因とも関係していますが、口の中の衛生状態が悪いと、そのリスクはさらに高まります。
咀嚼機能の低下
歯並びが乱れていると、左右の噛み合わせのバランスが崩れ、気づかないうちに片側ばかりで噛むクセが身についてしまうことがあります。
すると、同じ部分の粘膜にばかり負担がかかり、摩擦や圧力が続くことで炎症を引き起こしやすくなるのです。
さらに、食べかすが歯に挟まったまま残りやすくなることで、細菌が繁殖しやすい状態が生まれます。
咀嚼機能が低下すると、食べ物をうまく噛み砕けず、消化に負担がかかるだけでなく、口の中の清潔も保ちにくくなってしまいます。
このように、噛み方の偏りは、全身の健康や口内環境の乱れにもつながっていくのです。
口内炎が続く場合のリスク
口内炎が続く場合のリスクは、以下の4つです。
- 炎症の拡大
- 口内炎の慢性化
- 痛みによるQOLの低下
- 他の病気のサイン
それぞれを説明します。
炎症の拡大
たかが口内炎と思って放置していると、傷口が広がり、周囲の粘膜にも炎症が波及することがあります。
特に、義歯や矯正器具を装着している方は、粘膜が常に刺激を受けている状態になりやすいため、注意が必要です。
炎症が広がると、食事や会話に支障が出るだけでなく、治癒にも時間がかかるようになります。
口内炎の慢性化
口内炎は、通常であれば1〜2週間ほどで自然に治ることが多いとされています。
ところが、根本的な原因がそのまま残っていると、炎症が繰り返され、いつの間にか慢性化してしまうこともあります。
何度も炎症を起こしていると、粘膜のバリア機能が弱まり、ほんのわずかな刺激でも傷つきやすくなってしまいます。
その結果、口内炎が治ってもすぐ再発するという状態を抜け出せなくなるのです。
こうした悪循環を断ち切るには、体調管理とお口の環境を見直すことが欠かせません。
痛みによるQOLの低下
口内炎による痛みは、小さな炎症であっても、日常生活にじわじわと影響を及ぼします。
「食べるのがつらい」「話すのが面倒」と感じるようになり、気づけば食事の量が減ったり、人との会話を避けるようになったりすることも。
そうした変化が続くと、栄養が偏ったり、気持ちが落ち込みやすくなったりと、心身のバランスが崩れてしまいます。
さらに、痛みが慢性化するとストレスが積み重なり、体の不調を感じやすくなる場合もあります。
たった一箇所の小さな炎症が、暮らし全体の質(QOL)に影響を与えることは、決して珍しくありません。
他の病気のサイン
注意したいのが、治りにくい口内炎が「別の病気のサイン」である可能性です。
たとえば、白血病やベーチェット病、口腔がんなど、一部の全身疾患でも、症状として口内炎が現れることがあります。
いつもと違う形状や色、痛みが長引く場合は、早めに歯科や内科を受診しましょう。
口内炎になりやすい歯並び
口内炎になりやすい歯並びは、以下の4つです。
- 出っ歯
- 八重歯
- ハサミ状咬合
- 過蓋咬合
それぞれを解説します。
出っ歯
出っ歯とは、上の前歯が前に大きく突き出している状態のことを指します。
このような歯並びでは、口を閉じたときに前歯が唇の内側に触れやすく、粘膜に摩擦や圧迫が加わる場面が多くなりがちです。
とくに、会話をしているときや食べ物を噛んでいる最中など、無意識のうちに唇の裏側に歯が当たることもあります。
その刺激が繰り返されると、小さな傷から細菌が侵入し、結果として口内炎ができやすくなるのです。
さらに、前歯の突出によって唇が閉じにくくなると、口の中が乾燥しがちになります。
唾液がうまく循環しない状態が続くと、粘膜の防御力が下がり、炎症を引き起こすリスクが高まってしまいます。
八重歯
八重歯とは、犬歯などが他の歯と重なって前方や外側に飛び出して生えている状態です。
歯並び全体がデコボコしている「叢生(そうせい)」の一種で、歯の先端が頬や唇の内側の粘膜に当たりやすくなります。
特に八重歯は鋭く尖っていることが多く、会話や食事中に軽く擦れただけでも傷がついてしまうことがあります。
しかも、重なって生えた歯は歯ブラシが届きにくく、磨き残しが生じやすいため、細菌が繁殖しやすい環境になりやすいのです。
炎症が繰り返されると、傷ついた粘膜の治癒も遅れがちになります。
ハサミ状咬合
ハサミ状咬合は、上下の奥歯のかみ合わせが通常とは異なり、横方向に大きくずれて噛み合っている状態を指します。
まるでハサミの刃のように、歯が外側にズレた噛み合わせが特徴です。
この状態では、食事の際に頬の粘膜を巻き込むように噛んでしまうリスクが高まります。
一度粘膜に傷がつくと、同じ場所を何度も繰り返し傷つけてしまい、治りにくい慢性口内炎の原因になることも。
また、ハサミ状咬合の人は上下の歯がきちんと接触しないことも多く、噛む力のバランスが崩れ、咀嚼効率の低下にもつながります。
過蓋咬合
過蓋咬合とは、上の前歯が下の前歯を深く覆い隠してしまう噛み合わせのことです。
このような噛み合わせでは、下の前歯が上あごの粘膜に押し当てられるような形になり、知らないうちに強い圧力がかかってしまいます。
そうした状態が続くと、粘膜に傷がつきやすくなり、やがて炎症につながってしまうことも。
さらに、噛むときの力が特定の歯に集中しやすくなり、負担のかかる部分だけに摩擦が偏ってしまいます。
その結果、噛み癖やすり減りが生じ、口内炎のリスクが高まる要因となるのです。
悪い歯並びによる口内炎の対処方法
悪い歯並びによる口内炎の対処法は、以下の2つです。
- 歯を削る
- 歯列矯正
順番に説明します。
歯を削る
歯が粘膜に当たって、どうしても炎症が起きてしまうときは、歯の当たる部分をほんの少し削って、形を整えることがあります。
これを咬合調整と呼び、歯科ではよく行われている方法のひとつです。
強く当たる場所が限定的なら、この処置だけで落ち着く場合もあります。
ただ、削る量には限りがありますし、噛み合わせ全体とのバランスも大切になります。
なので、どこまで調整するかは、歯科医の判断が欠かせません。
歯列矯正
歯並びを整えると、歯が粘膜に当たってしまうような刺激も減ってきます。
その結果、口内炎をくり返すリスクも少なくなるでしょう。
見た目の改善を目的に始める方も多いですが、それだけではありません。
長い目で見れば、歯ぐきや粘膜の健康にもつながっていきます。
「このままで大丈夫かな?」と感じているなら、一度相談してみてもいいかもしれません。
口内炎の対処法
口内炎の対処法は、以下の5つです。
- 市販薬の活用
- 口腔内を清潔に保つ
- 栄養バランスの取れた食事
- 刺激物を避ける
- 十分な睡眠とストレス軽減
できることから始めてみましょう。
市販薬の活用
痛みがつらいときは、無理せず市販の薬に頼るのも一つの方法です。
口内炎用の軟膏やパッチには、炎症をやわらげたり、患部を保護してくれたりするものがあります。
使ってみるだけでも、少し楽になることがあるかもしれません。
ただ、何日たっても良くならない場合は、自己判断せずに歯科医院で診てもらうのがおすすめです。
口腔内を清潔に保つ
基本中の基本ですが、歯みがきやうがいで口の中を清潔に保つことは、炎症予防の基本です。
フロスや歯間ブラシも活用し、歯と歯の間までしっかりケアすることがポイントになります。
栄養バランスの取れた食事
ビタミンB群やビタミンCが不足すると、粘膜の修復力が低下し、口内炎ができやすくなります。
野菜や果物、たんぱく質を意識して取り入れ、栄養の偏りがないように注意しましょう。
刺激物を避ける
辛いもの、熱すぎる飲食物、アルコールなどは、口内炎があるときには刺激になりやすいです。
症状が落ち着くまでは、なるべく避けるようにして、粘膜への負担を減らす工夫が大切です。
十分な睡眠とストレス軽減
睡眠不足やストレスは、免疫力の低下を招きます。体の回復力が落ちると、口内炎の治癒にも時間がかかることに。
規則正しい生活を意識して、心身ともにリラックスできる時間を持つようにしましょう。
まとめ
歯並びが乱れていると、口内炎ができやすくなる要素がいくつも重なります。
物理的な刺激だけでなく、歯みがきのしづらさや噛み合わせのクセなど、日常の中にリスクが潜んでいるんです。
「何度も同じ場所にできる」「なかなか治らない」もしそう感じているなら、一度、歯並びを見直してみるのもひとつの手です。
セルフケアだけで対応しきれない場合は、プロの手を借りることで改善しやすくなることもあります。
毎日のケアももちろん大切ですが、気になる症状があるときは、なるべく早めに相談してみてくださいね。

コラム監修者
はぴねす歯科緑地公園駅前クリニック 院長 松浦 裕矢
大阪大学歯学部を経て、兵庫県内の医療法人、はぴねす歯科石橋駅前クリニックで勤務した後、現在ははぴねす歯科緑地公園駅前クリニックの院長を務めています。患者様一人ひとりの希望と健康に合わせた最適な治療を提供し、治療前にはしっかりと説明を行い、納得の上で進めています。矯正治療やセラミック治療を中心に、患者様の希望に寄り添った治療プランを提供し、日々患者様の健康をサポートしています。
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