虫歯治療で歯を削った場合、虫歯の深さによってはレジンではなくインレーと呼ばれる詰め物を詰めて機能を修復します。また神経まで達した場合、根の治療後にクラウンと呼ばれる被せ物を被せる治療を行います。保険治療の場合、この修復物は「銀歯」と呼ばれる金属の素材になります。では銀歯の寿命はどのくらい持つものなのでしょうか。今回は、銀歯の寿命に焦点を当ててみました。
銀歯の問題点とは
保険適用の場合、プラスチックのレジンか金属の二択となります。レジンは浅い虫歯や歯が少し欠けた場合に使われます。
いっぽう銀歯は、歯をたくさん又は深い部分まで削った場合に使われます。歯をたくさん削ると歯質が薄くなってしまいます。このようなケースでは強度を必要とするため、レジンでは対応が難しくなり、銀歯を選択せざるをえなくなります。
インレーでもクラウンでも、銀歯にすると歯の寿命が短くなると言われています。金属は歯よりも固く、その性質から歯を痛めてしまう可能性が高いこと、そして歯と金属の間のわずかな隙間から虫歯が再発しやすいことが大きな問題点です。また土台が金属の場合、歯の根が割れてしまう歯根破折の恐れがあり、根が割れてしまうと歯を残すことが難しくなってしまいます。
このように、銀歯は歯にとってダメージが大きく、問題点が多い治療法と言えます。
銀歯の寿命は?
歯と銀歯との境目からの虫歯や内部で広がった虫歯のために銀歯が取れた、また歯が痛むなどの症状が見られる場合、再治療が必要となり、その時点でこれまで使っていた銀歯の役目を終えることがほとんどです。銀歯の寿命は、一般的に次のとおりと言われています。
・インレー・・・5~6年
・クラウン・・・7~8年
・メタルコア(金属の土台)を使用した差し歯・・・5~6年
このように、銀歯の寿命は強度から考えるとそれほど長いものではないことがおわかりいただけると思います。これは銀歯という補綴物よりも、歯そのもに起こるトラブルのために再治療が必要になると言えます。
銀歯は安価で治療できますが、その代償は大きく、歯の寿命に大きく関わるのです。
セラミック系の補綴物は寿命が長い
オールセラミックやジルコニアセラミックなど、セラミックを使った補綴物は自費治療となり、高額な費用が必要となるためどうしても安価な保険診療を受ける方も多いでしょう。
しかし保険診療は安価な反面、寿命もそれほど長くなく、コストに問題を抱える治療法です。そして何よりも、歯そのものの寿命が短くなってしまうことは、保険診療の抱える最大の問題点です。
セラミック治療は確かに高額ですが、銀歯と比べると寿命も長く、虫歯の再発の可能性も低いため、長い目で見るとコストが良い治療法でもあります。
歯の健康を維持するための治療法として、セラミックによる治療法を選択肢のひとつとして考えてみてはどうでしょうか。
コラム監修者
はぴねす歯科緑地公園駅前クリニック 院長 松浦 裕矢
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