歯の根元と根元の間にある、ゴマのような小さな黒い隙間にお悩みの方もおられると思います。審美性を下げるこの隙間を「ブラックトライアングル」と言い、笑顔に自信をなくす一つのコンプレックスでもあります。このブラックトライアングルをインビザラインによって改善することができると言われており、ブラックトライアングルを防いで歯並びを治すことができる可能性があります。それはどうしてでしょうか。
ブラックトライアングルとは?
ブラックトライアングルとは、歯の根元と根元の間にできる隙間のことで、黒い三角形のように見えることからそのような名称で呼ばれています。
健康な歯ぐきはキュッと引き締まっており、歯と歯の間にぴっちりと歯肉が入り込んでいるのが本来の状態です。
しかし、歯肉退縮が起きると本来歯と歯の間に入り込んでいる歯肉が下がって隙間ができてしまいます。その原因はいくつか考えられますが、加齢や歯周病、強いブラッシング圧によるものが考えられます。
またガタガタの歯並びを矯正治療で治した際にブラックトライアングルができてしまうことがあります。歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくく、汚れが溜まって歯ぐきが腫れて歯肉炎を起こすことがありますが、矯正治療で歯並びが改善されると歯ブラシがしやすくなり、丁寧なブラッシングによって歯ぐきが引き締まります。
また歯並びが悪かった場所に溜まっていた歯石を取り除くことで、隙間ができたように見えることもあります。
このように、ブラックトライアングルができる原因は様々です。
レジンによるブラックトライアングルの治療法の問題点とは?
ブラックトライアングルは、根元の隙間を埋めることで隙間をなくし、審美面を回復させることができます。いちばんオーソドックスな治療法は、虫歯治療で使う歯科用レジンを使って、ブラックトライアングルの隙間を埋める方法です。即日治療できますし、見た目も自然できれいに修復ができますが、レジンによる審美回復はいくつかの問題点を抱えています。
その問題点として「詰めたレジンが外れる」「着色、変色しやすい」「汚れが溜まりやすい」ということが挙げられます。レジンは光を照射して歯に接着するため、何年か経つと劣化してレジンが外れてしまうことがあります。
またレジンは吸水性が良く汚れも取り込みやすいため、レジンを詰めた部分だけ変色してしまいがちです。そのため天然歯の部分とレジンで詰めた部分の色の差が出てしまって審美面を下げてしまいます。
そしてレジンはザラザラしていてプラークが付きやすい素材でもあり、虫歯や歯周病リスクを高めてしまいます。このように、即日治療できるレジンでの修復は、先々のことを見据えるとデメリットが多い治療法だと言えます。
インビザラインならブラックトライアングルを改善、予防できる?
歯並びが悪い方は、歯並びを治すことでブラックトライアングルが作られてしまう可能性があります。せっかくガタガタの歯並びを治したのに、歯ぐきの根元にブラックトライアングルができてしまうと、喜びも半減してしまうのではないでしょうか。
インビザラインによる矯正治療なら、ブラックトライアングルができにくいため矯正治療後のブラックトライアングルの出現を防ぐことが可能と考えられています。
インビザラインでは、歯と歯の間にわずかな隙間をつくるIPRという処置を行って歯を動かします。健康な歯を削ることに不安を感じるかもしれませんが、IPRで削る歯の量は最大0.4ミリです。エナメル質の厚みは2~3ミリなのに対し、歯を削る力はごくわずかです。そのためIPRを行うことで虫歯リスクが高まることはありません。。
またクリンチェックによるシュミレーションでブラックトライアングルを予想し、IPRの量も設定することができることもインビザラインの強みです。ワイヤー矯正は医師の予見によって歯を動かしていくため、稀に予想しなかった結果が生じることがありますが、インビザラインは先に行うクリンチェックによって、様々なケースに対応しやすいところがワイヤー矯正との大きな違いだと言えます。
もともとあったブラックトライアングルも、インビザラインできれいに解消できるケースも
歯並びに問題がなくとも、歯肉退縮などでブラックトライアングルが見られる場合、インビザラインならきれいに改善できることがあります。インビザラインならレジンでの修復と異なり、詰めたところが取れることはなく、レジンの部分だけの変色も起こりません、また天然歯を動かすためレジンのようにプラークが付きやすいといこともありません。インビザラインの部分矯正なら数か月でブラックトライアングルの改善が可能です。
ただ全てのブラックトライアングルをインビザラインで改善できるわけではありません。歯並びの状態や歯肉の退縮具合によっては、別の治療法でブラックトライアングルを改善することもあります。
インビザラインでブラックトライアングルを改善した後に気を付けることは?
インビザラインでブラックトライアングルを改善したあとは、再び歯肉退縮を起こさないように心がけることが大切です。特に強いブラッシングによって歯ぐきに強い圧力を加えると、再び歯肉退縮が起きてしまいます。また歯周病も歯肉退縮の大きな原因です。
毎日のブラッシングに気を付け、定期検診を受けることで歯周病を予防し、健康できれいな歯肉を維持することができますので、歯と歯ぐ気のケアに注意して過ごしましょう。
コラム監修者
はぴねす歯科緑地公園駅前クリニック 院長 松浦 裕矢
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