「小児矯正治療を抜歯をせずにおこないたい」と考えている親御さんは少なくないのではないでしょうか?最近お子さんの歯並びについて気になってきたこともあり、矯正治療が必要なのか、また矯正治療は抜歯も必ず必要なのかといった疑問を持たれている方もいるでしょう。
他にも以下のような点について悩んでいませんか?
- 「小児矯正にも抜歯が必要なのか知りたい」
- 「抜歯と矯正治療の関係も理解したい」
- 「子供の歯並びは矯正治療が必要なのか知りたい」
- 「矯正の治療方法や治療のリスクの情報収集をしたい」
矯正治療で抜歯が必要になるケースは理想の歯並びにするために、歯を動かすスペースが足りていない場合になります。しかし、小児矯正の場合、顎の成長が終わっていない段階で治療を開始すると歯を動かすスペースが確保しやすく、抜歯が不要になるケースがあります。
具体的に抜歯せずにおこなう矯正治療法とは「床矯正」と「マウスピース矯正」になるのですが、実は抜歯をしないことによるリスクも存在しています。
そこで今回は以下のトピックについて解説します。
- 小児矯正は抜歯なしでもできる?
- 小児矯正で抜歯が必要となるケース
- 小児矯正で抜歯をしない方法
- 小児矯正の抜歯後に起こりやすい症状
- 非抜歯矯正のデメリット
- 小児矯正の抜歯で後悔しないコツ
この記事は小児矯正は抜歯をせずに治療ができるのかや、抜歯が必要になるケースや抜歯をしないで治療する方法、抜歯をしないことのデメリットについても解説します。
お子さんの歯並びに関して、特に小児矯正と抜歯の関係について納得して、意思決定できる程度に情報を集めたい方はぜひ参考にしてください。
小児矯正は抜歯なしでもできる?
小児矯正は抜歯なしでも治療できる可能性があります。なぜなら小さい子供の段階で矯正治療を開始すると、顎の成長とともに治療ができるので、歯を動かすためのスペースを確保しやすくなるからです。
もともと抜歯は歯を動かすためにおこなうものなので、顎の成長が望める小児矯正だと抜歯の必要が無く治療ができるでしょう。
ただし、小児矯正で顎を広げる際のデメリットもあるため、注意が必要です。
関連記事:小児矯正で顎を広げる理由とは?メリットやデメリットを解説
小児矯正で抜歯が必要となるケース
小児矯正で抜歯が必要になるケースは主に以下の4つのケースです。抜歯が必要かどうかは、お子さんの歯の状態を確認するところから始めましょう。
歯を移動させるスペースがない
歯を移動させるための顎のスペースがない場合は抜歯する必要があります。特に11歳以降のある程度顎の成長が終わっている方だと歯のスペースを確保するために、抜歯が必要になる可能性が高いでしょう。
必要になるスペースは何本の歯をどれだけ動かしたいかによって変わってくるので、歯科医師に実際に動かすシミュレーションをしてもらうと良いです。
口を閉じることができない
自然と口を閉じられない方は小児矯正をする場合だと抜歯する必要があるでしょう。自然と口を閉じられないというのは、上顎と下顎のサイズが合っていない状況です。
この状態で無理に治療を進めてしまうと、歯を綺麗に並べても噛み合わせが悪いので、結局のところ抜歯をして上下のあごに合う歯並びに調整していく流れになります。
そのため、自然に口を閉じられないほど顎がずれている場合は先に顎の噛み合わせを整える必要があり、そのために抜歯によって歯を移動させましょう。
矯正治療に支障が出る乳歯がある
矯正治療に支障が出てしまう乳歯がある場合にも抜歯が必要です。具体的には歯がグラグラしていて矯正器具の装着に邪魔になりそうな乳歯や、生え代わりの時期が過ぎているのに残っている乳歯のことを指します。
ただし、乳歯はいずれ抜けてしまう歯でもあるので、抜歯することに対して問題はないです。またお子さんの体にかかる負担も小さいことから安心しましょう。
顎の成長が終わっている
顎の成長が終わっている場合も抜歯は避けられないでしょう。なぜなら歯を並べるためのスペースを確保するには、土台となる顎の成長が止まってしまうと、抜歯をしてスペースを確保するしかないからです。
もちろん、顎の成長が止まっていても歯を動かしてスペースを確保できますが、満足度の高い歯並びにするには抜歯の可能性があることを認識しておきましょう。
小児矯正で抜歯をしない方法
小児矯正で抜歯をせずに治療をおこなえる方法は主に以下の2つです。それぞれお子さんの負担にならないような特徴があります。
床矯正
床矯正とは歯列を広げることで、歯を動かすスペースを作って、抜歯せずに歯列矯正をおこなう方法です。特に顎の骨が柔らかく、これから顎の骨が成長しやすい小さなお子さんに向いている矯正方法になります。
ただし、この治療法には違和感を感じやすかったり、発音しにくかったりとお子さんにとって多少は負担になる可能性もあります。お子さんが合うか合わないかを歯科医師に確認してから治療法を決めたほうが治療が頓挫する可能性も低くなります。
マウスピース矯正
マウスピース矯正とは透明なマウスピースを装着して、徐々に歯を動かしていく治療法です。マウスピース矯正治療の特徴は3つあります。
- 目立ちにくい
- 取り外しが可能
- ストレスになりにくい
ただし、装着時間の管理が甘ければ、装着時間が足りず、治療が進まないですし、虫歯や歯周病がある場合には治療を中断せざるをえません。
そのため、ある程度、自己管理能力や虫歯に注意ができる高学年向けの治療と言えるでしょう。
小児矯正の抜歯後に起こりやすい症状
小児矯正の抜歯後に起こりやすい症状として主に以下の3つがあげられます。抜歯後は以下の3つ以外にも虫歯や歯周病など、さまざまな病気のリスクが高まるので注意しましょう。
顎関節症
抜歯後は顎関節症になるリスクが高まります。抜歯をするとどうしてもしばらくの間は違和感や痛みが生じて、口が勝手に空いてしまい、そこから菌が侵入するリスクが高いです。
違和感や痛みがある状態が続くと閉じにくい口から侵入した菌が炎症を悪化させ、最終的には顎周りの筋肉を硬直させ、いずれ顎関節症を引き起こすでしょう。
顎関節症になると顎関節に痛みが生じて、そのせいで口が開けにくかったり、音が鳴ったり、強く噛めなかったりといった症状が発生します。
こういったストレスはお子さんにとって非常に負担になり、治療の継続の妨げになるでしょう。そのため、抜歯後に痛みがある場合は歯科医師の指示を聞いて、適切なケアをするように心がけると良いです。
頭痛
抜歯をすると一時的にですが、激しい頭痛が起こる可能性があります。実は歯の近くに大きな神経が通っているため、抜歯をして炎症を起こしたりすると肩こり、頭痛のリスクが非常に高くなるのです。
抜歯後の炎症は非常に起こりやすいですが、抗生剤や消炎剤を服用して安静にしていると回復していきます。そのため、抜歯後は口の中の状況に注意しながら、違和感がある場合はすぐに薬を服用したり、心配な場合は歯科医師に相談しに行きましょう。
咀嚼力が落ちる
抜歯すると咀嚼力が落ちるでしょう。当然、今までの存在していた歯がなくなるので、噛む力が落ちるのですが、抜歯後は痛みが出やすいのでさらに咀嚼力が落ちると言われています。
そのため、抜歯後は今まで通りの食事が取りにくく、さらに食べ物をしっかりと咬めないので胃や腸の負担になりやすいといったようにストレスを溜めてしまうでしょう。
治療を継続させるためにも、お子さんのストレスにならないように柔らかい食事をメインにしたり、毎日口の中で炎症が起きていないか、確認してあげると良いです。
非抜歯矯正のデメリット
抜歯をせずに矯正をおこなうといくつかデメリットが存在しています。抜歯をしないことによるデメリットについても理解しておきましょう。
口元が突出してしまう
抜歯矯正をせずに矯正治療をおこなうリスクとして口元が突出してしまう可能性があります。治療を開始する前は歯を動かすためのスペースを確認できていても、抜歯をしていないと歯を動かすためのスペースが小さいです。
そのため、矯正していく段階で顎の成長や歯の生え方にトラブルが発生すると、抜歯をしていないために歯を並べるスペースが無くなるというケースが少なくありません。
このように抜歯せずに治療をしている最中に矯正スペースがなくなった場合は結局抜歯せざるを得ないケースが多いです。こういった非抜歯矯正の最大の注意点についてしっかり理解しておきましょう。
歯ぐきが下がってしまう
抜歯をせずに矯正治療をすると歯茎が下がるというケースも少なくありません。特に元々歯肉が薄い人は注意が必要です。
歯肉が薄いにもかかわらず抜歯をせずに無理に歯を動かそうとすると後々歯肉退縮を起こしやすいです。
歯肉は歯を支えるための根元の部分なので、歯肉が薄い方は抜歯をして、抜歯した分の歯肉のスペースを作ってから矯正治療をしないとリスクが高いことを覚えておきましょう。
小児矯正の抜歯で後悔しないコツ
小児矯正の抜歯で後悔しないためのコツは主に以下の2つです。抜歯はお子さんにとって負担が大きい選択です。
失敗しないためにもしっかりとポイントを押さえてから治療に臨むようにしましょう。
信頼できる歯科医院を選ぶ
小児矯正の抜歯で失敗しないコツとしては信頼できる歯科医院をしっかりと選ぶことが何よりも大切です。ただし、歯列矯正治療は一般的な歯科医院では難しく、しっかりと見極める必要があります。
具体的に以下の2つのポイントに当てはまる歯科医院を探すようにしましょう。
- 矯正治療の症例数が多い歯科医院を探す
- Googleや口コミサイトなどでの口コミや評価を確認する
特に口コミに関してはいい口コミよりも悪い口コミに注目して、悪い口コミの内容が受け入れられるかどうかを判断しましょう。そのうえで、症例数の多い歯科医師に治療してもらえると安心です。
検査をしっかり行う
小児矯正の抜歯で後悔しないためには検査をしっかりとしてもらうことが非常にポイントになってきます。歯列矯正は非常に緻密でかつ、高度な技術が求められる治療でもあるので、検査が曖昧だと失敗するリスクが高くなります。
そのため、何の検査をしているのか、何のためにしているのかなどの検査の目的をまずはしっかり説明してもらうようにすると良いです。この際にわかるまで説明してもらえなかったり、曖昧な説明をされたりした場合は他の歯科医院に相談しに行った方が後悔する確率が圧倒的に低くなるでしょう。
また治療の説明が難しいからと理解を諦めないことも大切なので、あらかじめ検査の流れや目的についても抑えておくと良いです。
まとめ
小児矯正で抜歯の必要があるのは今回紹介したケースにあてはまる場合ですが、まとめると歯を動かすためのスペースが足りていないと抜歯せざるを得ないでしょう。
これは大人になってからの矯正治療でも小児矯正でも抜歯しなくてはならない理由は同じです。しかし、小児矯正に関してはお子さんの治療を受ける年齢にもよりますが、顎の成長が終わっていない段階で治療を開始すると顎の成長が見込めるので抜歯のリスクが減ります。
そのため、治療を受けるならなるべく早い方がいいです。抜歯の負担は今回紹介したようにかなりお子さんにとってストレスになりやすいので、顎を成長させてスペースを確保できる年齢であるのなら、今すぐに治療した方がいいでしょう。
具体的な話を歯科医師に相談する前に今回紹介した内容や今お子さんがどういう状況なのかを把握しておくと納得して判断しやすいので、しっかり理解しておくと良いです。
コラム監修者
はぴねす歯科緑地公園駅前クリニック 院長 松浦 裕矢
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