「子どもの歯並びが悪い原因を知りたい」と、思っている方はいませんか。

「子どもの歯並びを治すタイミングがわからない」と、悩んでいる保護者の方もいるのではないでしょうか。

子どもの歯並びが悪くなる原因は、先天的なものから後天的なものまで、さまざまです。

いずれにせよ、歯並びの悪さを放置していると、口腔内の健康や見た目にさまざまなリスクをおよぼします。

そこでこの記事では、以下の内容についてわかりやすく解説します。

• 子どもの歯並びが悪い主な原因
• 悪い歯並びの代表的なタイプ
• 子どもの歯並びが悪いとどうなる？放置によるリスク
• 子どもの歯並びは自然に治る？
• 歯並びを悪化させないための生活習慣
• 子どもの矯正治療を始める時期
• 子供の歯並びの主な矯正方法
• 子供の歯並びについて歯科医院に相談すべきタイミング

この記事を読むことで、子どもの歯並びがなぜ悪くなるのかが理解できるとともに、適切な対処法がわかります。

子どもの歯並びが気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

子どもの歯並びが悪い主な原因

子どもの歯並びが悪くなる原因は、おもに以下の6つです。

• 遺伝による顎や歯の大きさのバランス
• 指しゃぶり・おしゃぶりなどの悪い癖
• 舌で歯を押す「舌癖(ぜつへき)」
• 口呼吸・うつ伏せ寝・頬杖の習慣
• 柔らかい食事や片側噛みなどの食生活
• 乳歯の虫歯・早期喪失による歯のズレ

それぞれについて、解説していきます。

遺伝による顎や歯の大きさのバランス

顎や歯の形および大きさは遺伝しやすいので、両親や祖父母の歯並びが悪いと、子どもの歯並びが悪くなる可能性が高まります。

たとえば、遺伝によって顎の骨が小さく、歯が大きい場合は、歯が綺麗に並びきらず、歯並びがデコボコになる可能性があります。

反対に、顎の骨が大きく、歯が小さい場合は、すきっ歯になりやすいでしょう。

指しゃぶり・おしゃぶりなどの悪い癖

指しゃぶりやおしゃぶりが、歯が生えてくる3歳以降まで続くと、前歯の噛み合わせに影響する可能性が高まります。

指や乳首を吸う強い力が前歯にかかり続けるので、出っ歯になったり、前歯がかみ合わなくなったりする恐れがあるからです。

特に指しゃぶりは、上の歯が前方に、下の歯が後方に押される力が加わるため、歯並びや噛み合わせが悪くなりやすいでしょう。

舌で歯を押す「舌癖(ぜつへき)」

飲食物を飲み込んだり、発音したりするときに舌で前歯を押す舌癖(ぜつへき)という癖も、歯並びに悪影響を及ぼすことがあります。

舌が常に前歯を押し出す力が働くため、上下の前歯が前方へと傾きやすくなります。

また、前歯の噛み合わせも悪くなる恐れがあるでしょう。

口呼吸・うつ伏せ寝・頬杖の習慣

口呼吸やうつ伏せ寝、頬杖が習慣化していると、歯並びが悪くなる恐れがあります。

口呼吸が癖になると、唇や舌の筋肉の力が低下して、前歯が傾斜しやすくなります。

また、うつ伏せ寝の習慣があると、下の顎が後方へ押し下げられて出っ歯になったり、前歯が押されて内側に傾いたりすることがあるため、注意が必要です。

頬杖をつく癖があると、顎に偏った力が加わるので、上顎が突出して見えたり、噛み合わせが悪くなったりする可能性があります。

柔らかい食事や片側噛みなどの食生活

柔らかい食べ物ばかり食べたり、食べ物を片側ばかりで噛んだりする癖も、歯並びに悪影響を及ぼします。

柔らかい食べ物ばかり食べていると、顎の発達が不十分になり、歯並びが悪くなる恐れがあるので注意しましょう。

また、食べ物を片側ばかりで噛む片側噛みの癖がつくと、顎の成長に左右差が生じて、歯並びや噛み合わせが悪くなることがあります。

乳歯の虫歯・早期喪失による歯のズレ

乳歯の虫歯が重症化して、自然に抜けたり治療で抜いたりすると、歯列のズレが起こることがあります。

抜けた歯のすき間を埋めようとして、残りの歯が傾いてしまうためです。

歯が傾くと、永久歯が生えるスペースが狭くなるため、歯並びに乱れが生じます。

悪い歯並びの代表的なタイプ

悪い歯並びの代表的なタイプは、以下の6つです。

• ガタガタ・叢生(そうせい・乱ぐい歯)
• 出っ歯・上顎前突(じょうがくぜんとつ)
• 受け口・反対咬合(はんたいこうごう)
• 開咬(かいこう)前歯が噛み合わない状態
• すきっ歯・空隙歯列(くうげきしれつ)
• 交差咬合・左右のずれ

それぞれの特徴について、解説します。

ガタガタ・叢生(そうせい・乱ぐい歯)

歯が正しい位置に並ばずに、ガタガタに重なり合っている状態です。

歯と顎の大きさのバランスが悪く、歯がきちんと並ぶスペースが足りないために起こります。

歯並びが悪い、と聞くと、この叢生の状態をイメージする人も少なくありません。

出っ歯・上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎や上の前歯が前方に出ていたり、下顎や下の前歯が後ろに引っ込んでいる状態です。

前歯で物を噛みにくい、口元が突出して見える、などのリスクがあります。

また、転倒したときに、前歯が負傷しやすいので注意が必要です。

受け口・反対咬合(はんたいこうごう)

下の歯が上の歯よりも、前に出ている状態です。

骨格や歯並び、舌の癖などが原因で発生します。

咀嚼や発音、見た目に影響が起こりやすいのが特徴です。

開咬(かいこう)前歯が噛み合わない状態

口を閉じたとき、奥歯は噛み合っているのに、前歯が噛み合わずにすき間が開いている状態で、オープンバイトとも呼ばれています。

口が閉じにくくなるだけでなく、食べ物を前歯で噛み切れない、発音が不明瞭になるなど、日常生活に支障をきたすこともあります。

すきっ歯・空隙歯列(くうげきしれつ)

歯と歯の間にすき間がある歯並びのことを指します。

乳歯のすきっ歯はほとんどの場合、永久歯に生え変わることですき間が埋まります。

しかし、永久歯になっても改善しない場合は、虫歯や歯周病のリスクが高まったり、発音しにくくなったりする可能性があるので注意が必要です。

交差咬合・左右のずれ

上下の歯を噛み合わせたときに、歯列がどこかで交叉して、上の歯列よりも下の歯列が外側にはみ出している状態です。

歯のズレが一本だけの場合や複数本ずれているケースのほか、全体的にずれているなど、症状は人によってさまざまです。

噛む力が左右非対称になってしまうため、顔に歪みが発生したり、肩こりや腰痛といった全身症状を引き起こしたりする恐れがあります。

子どもの歯並びが悪いとどうなる？放置によるリスク

子どもの歯並びの悪さを放置すると、以下のようなリスクが発生する恐れがあります。

• 虫歯や歯周病のリスクが高まる
• 発音・滑舌への影響(サ行・タ行など)
• 噛み合わせのズレによる姿勢・頭痛への影響
• 見た目のコンプレックスや自信の低下

いずれも生活に支障をきたすものばかりなので、早めの対処が必要です。

ここでは、それぞれのリスクについて、詳しく解説します。

虫歯や歯周病のリスクが高まる

歯並びが悪いと歯磨きがしにくくなり、磨き残しが増えて虫歯や歯周病のリスクが高まります。

自分でしっかり歯磨きすることが苦手な子供は、特に虫歯や歯周病になりやすいでしょう。

虫歯や歯周病が酷くなると、歯肉炎になったり、歯にぐらつきが生じたりと、口腔内の健康に悪影響を及ぼします。

発音・滑舌への影響(サ行・タ行など)

歯並びが悪いと舌や唇がスムーズに動かなくなるため、特定の音が正確に発音できなくなる恐れがあります。

とくにサ行・タ行は、前歯や舌の位置が重要なので、歯並びが悪いと発声しにくいでしょう。

正しい発音ができないと会話に支障が生じ、友人関係に影響を及ぼす可能性があります。

噛み合わせのズレによる姿勢・頭痛への影響

歯並びが悪く噛み合わせがずれることで、身体のバランスが悪くなり、姿勢が乱れたり、頭痛を引き起こしたりすることがあります。

噛み合わせがずれていると口がしっかり閉じられず、背筋を真っ直ぐ伸ばしにくくなります。

また、噛み合わせが悪いと顎周りの筋肉に負担がかかり、頭痛を引き起こしやすくなるでしょう。

見た目のコンプレックスや自信の低下

歯並びが悪いと、見た目にコンプレックスを抱いて自分に自信を無くしてしまうかもしれません。

歯並びの悪さを気にして口を大きく開けられなかったり、笑顔を見せられなかったりすると、自己肯定感の低下につながります。

自分に自信がないまま学校生活を過ごすと、心の健康も損なわれてしまいかねません。

子どもの歯並びは自然に治る？

子どもの歯並びは、自然に改善する場合もあれば、治療が必要な場合もあります。

例えばすきっ歯の場合は、永久歯が生え揃うとすき間が埋まる可能性が高いでしょう。

しかし、永久歯が生え始めても歯の隙間が改善しない場合は、注意が必要です

また、乳歯が生えはじめた頃の歯並びの悪さは、顎の成長と共に改善されることがあります。

ただし、乳歯が生え揃った時点で受け口、深い噛み合わせ、顎の左右へのズレがある場合は、乳歯の時点で矯正治療をした方がよいかもしれません。

歯並びを悪化させないための生活習慣

歯並びを悪化させないためには、以下の生活習慣を意識するようにしましょう。

• 鼻呼吸を意識する(口呼吸をやめる)
• 指しゃぶり・舌癖を早めに改善する
• よく噛んで食べる食習慣を身につける
• 姿勢を整える・頬杖やうつ伏せ寝を防ぐ
• 定期的に歯科検診を受ける

それぞれについて、解説していきます。

鼻呼吸を意識する(口呼吸をやめる)

口呼吸をやめて、鼻呼吸に変えれば、口を閉じる時間が長くなり口周りの筋肉が鍛えられ、歯並びの悪化を防げます。

子どもに鼻呼吸を意識させるには、口を閉じた状態で鼻からゆっくり深呼吸する練習をさせたり、「鼻から息をしてみようね」などと声を掛けたりするとよいでしょう。

指しゃぶり・舌癖を早めに改善する

4歳を過ぎても指しゃぶりをしたり、舌癖があったりすると、前歯が傾く恐れがあるので、早めに改善しましょう。

しかし、無理やりやめさせようとすると、ストレスが溜まってしまいます。

身体をいっぱい動かしたり、親子で手を使うゲームを楽しんだりするなど、スキンシップや遊びで気を紛らわせるようにしましょう。

よく噛んで食べる食習慣を身につける

よく噛んで食べる食習慣を身につけることで、顎の骨が鍛えられ、歯並びが整いやすい環境を作れます。

食事に噛み応えのある食材を取り入れる、食事の際の姿勢に気を付ける、などを意識しましょう。

具体的には、根菜やキノコ類、乾物などを使ったメニューがおすすめです。

また、食事中はテレビを消して、静かな環境で食べるようにすれば、噛むことに集中できるでしょう。

姿勢を整える・頬杖やうつ伏せ寝を防ぐ

姿勢が悪い、頬杖をつく癖やうつ伏せ寝の習慣がある場合は、早めに改善することが大切です。

たとえば座っているときには、背筋を伸ばして足が床につく状態になるよう、いすや机の高さを調整してあげましょう。

また、就寝時は仰向けで寝るように声かけする、頬杖をついているところを見かけたら優しく指摘するなど、歯並びが悪くなる習慣を改善する環境を整えましょう。

定期的に歯科検診を受ける

定期的に歯科医師の診察を受けて、歯の状態をチェックしてもらうこともおすすめです。

定期検診を受けることで、虫歯の早期発見だけでなく、成長に合わせた歯並びや噛み合わせの状態もチェックしてもらえます。

また、歯並びが悪くなる兆候を早期に発見できるので、適切なタイミングで治療が受けられるでしょう。

子どもの矯正治療を始める時期

子どもの矯正治療は、Ⅰ期治療とⅡ期治療の2つに分けられます。それぞれの治療を始める適切な時期は、以下のとおりです。

• Ⅰ期治療(乳歯と永久歯が混在する6〜12歳ごろ)
• Ⅱ期治療(永久歯が生え揃う12歳以降)

ここでは、なぜこの時期に始めるのがよいのかについて解説します。

Ⅰ期治療(乳歯と永久歯が混在する6〜12歳ごろ)

Ⅰ期治療を始めるのに適している時期は、乳歯と永久歯が混在している6～12歳ごろです。

Ⅰ期治療では、顎の成長をコントロールしたり、顎の上下の骨のバランスを整えたりして、永久歯が正しい位置に生えるように促します。

歯の生え変わりが進行している時期に治療を行うことで、永久歯が生えるスペースをしっかり確保することが目的です。

Ⅱ期治療(永久歯が生え揃う12歳以降)

Ⅰ期治療でも歯並びが改善されない場合は、永久歯が生え揃う12歳以降にⅡ期治療を行うことが一般的です。

Ⅱ期治療では、大人の矯正治療と同じ装置で、歯並びや噛み合わせを整えます。

Ⅱ期治療はいわば仕上げの治療なので、永久歯がすべて生え揃ってから行う必要があります。

関連記事：歯並びが悪い中学生は矯正すべき？原因・治療法・費用を徹底解説

子供の歯並びの主な矯正方法

子どもの歯並びの主な矯正方法は、以下の6つです。

• 取り外しができる「床矯正(しょうきょうせい)」
• 透明で目立ちにくい「マウスピース矯正」
• 歯をワイヤーで動かす「ブラケット矯正」
• 顎の成長を利用する「機能的矯正装置」
• 部分的に整える「部分矯正」
• 筋肉バランスを整える「MFT(口腔筋機能療法)」

ここでは、それぞれの治療の特徴を解説します。

取り外しができる「床矯正(しょうきょうせい)」

床矯正は、ネジが付いたマウスピース型の装置を用いた矯正方法です。

自分で取り外し可能なので、食事や運動のときは、一時的に外しておけます。

痛みや違和感が少ないため、小さな子どもでも続けやすいのが特徴です。

透明で目立ちにくい「マウスピース矯正」

透明で目立ちにくいマウスピースを1～2週間ごとに交換して、歯並びを矯正する方法です。

矯正治療中であることが周りに気づかれにくいので、見た目を気にせず治療できるというメリットがあります。

また、取り外し可能なので、食事も普段通り楽しめます。

歯をワイヤーで動かす「ブラケット矯正」

歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を付け、ワイヤーを通して歯を動かす治療法です。

もっとも一般的な治療法で、幅広い症例に対応できます。

矯正装置が目立ちやすい治療法ですが、最近では透明な装置や、目立ちにくいカラーの装置を取り扱う歯科医院も増えています。

顎の成長を利用する「機能的矯正装置」

顎の骨や筋肉の成長を利用して、上顎や下顎のバランスを整える治療法です。

成長期の骨は柔らかいので、治療によって発達を促し、永久歯が正しい位置に生えるためのスペースを確保します。

おもな装置には、バイオネーターやムーシールドなどがあります。

部分的に整える「部分矯正」

歯列全体ではなく、前歯や奥歯など、一部の歯並びのみを整える矯正治療です。

部分的な矯正のみなので、全体矯正よりも時間や費用が抑えられるというメリットがあります。

ただし、原因が歯列全体や顎になる場合は、全体矯正が必要となる可能性もあるため、注意が必要です。

筋肉バランスを整える「MFT(口腔筋機能療法)」

子どもの舌や口、顎など口周りの筋肉のバランスを整えて、悪い歯並びの根本的原因にアプローチする治療法です。

おもな方法には、鼻呼吸の練習や正しい舌の位置を身につけるトレーニング、舌先の筋肉と精密な動きを鍛えるトレーニングなどがあります。

トレーニングすることで、歯並びの改善だけでなく、発音の向上や鼻呼吸の安定など、さまざまな効果が期待できます。

関連記事：小児矯正にかかる平均費用はいくら？相場を種類ごとに解説

子どもの歯並びについて歯科医院に相談すべきタイミング

子どもの歯並びが以下の状態になっている場合は、早めに歯科医師に相談しましょう。

• 歯が重なって生えている・噛み合わせがズレている
• 指しゃぶりが3歳を過ぎても続いている
• 口呼吸や開いた口がクセになっている
• 6〜7歳で永久歯が生え始めた頃

早めに医師に相談することで、適切な治療が受けられます。

歯が重なって生えている・噛み合わせがズレている

歯が重なって生えている状態や噛み合わせのズレは、自然には治らないため、早めに歯科医師に相談しましょう。

永久歯がすべて生え揃ってしまうと、症状がますます悪化し、咀嚼や発音に悪影響を及ぼす恐れがあります。

しかし、早めに歯科医師に相談すれば、抜歯をせずに症状を改善できる可能性があります。

指しゃぶりが3歳を過ぎても続いている

3歳を過ぎても指しゃぶりが続いていると、顎の発達に悪影響を及ぼす恐れがあるので、早めに歯科医師に相談しましょう。

歯科医師に相談することで、口腔内を見てもらえるだけでなく、指しゃぶりをやめさせる効果的な方法を教えてもらえます。

口呼吸や開いた口がクセになっている

口呼吸や開いた口がクセになっている場合、歯並びや顎の成長に悪影響を与える可能性があるので、歯科医師に相談することをおすすめします。

歯科医院では、口呼吸や開いた口になる原因を特定し、口周りの筋肉を鍛えるトレーニングを行います。

早めに悪癖を改善することで、将来的な見た目へのコンプレックス予防にもつながるでしょう。

まとめ｜早めの相談が子どもの歯を守る第一歩

子どもの歯並びの悪さは、遺伝的なものや癖、生活習慣など、さまざまな要因で起こります。

子どもの歯並びの悪さが気になる場合は、様子見するのではなく、早めに歯科医師に相談することが大切です。

もしも矯正治療が必要になっても、早め始めることで、治療にかかる費用や期間を抑えられます。

また、歯並びを悪化させないためには、食生活や姿勢、生活習慣の改善も重要です。

子どもの歯並びの悪さが気になっている方は、この記事を参考にして、適切な対処法を実践できるようになってください。