「部分矯正したあとの後戻りが気になる」

部分矯正にて歯並びを整えたあとに、しばらくすると元のガタガタだった歯並びに戻ってしまった経験はありませんか。

矯正後には歯が元の位置に戻る「後戻り(リラップス)」が起こることがあります。

後戻りには原因と対処方法があるため、それぞれを理解しておくことで、部分矯正後もきれいな歯並びをキープできます。

今回は、部分矯正後に起こる後戻りの原因とその対処方法を紹介します。

矯正後に起こる後戻りとは

「後戻り」とは、矯正によって綺麗に整えた歯並びが時間が経過するとともに元の状態に戻ってしまうことです。

完全に治療前の歯並びに戻らなくても、「わずかな隙間ができる」「前歯がわずかにデコボコしている」など、微小な動きが起こることもあります。

矯正によって綺麗にした歯並びをずっと維持しておくためには、後戻りが起こる原因と対処方法をしっかり理解しておく必要があります。

部分矯正で後戻りする原因

部分矯正で後戻りする原因は7つあります。

・保定装置を使っていない
・親知らずによる影響
・歯周病
・噛み癖や舌癖
・保定期間の不足
・不正咬合の原因が残っている

1つずつ紹介していきます。

保定期間の不足

1つ目の原因は、保定期間が不足していることです。

保定期間とは、矯正によって動かした歯を固定させるための期間のことです。

保定期間中には、保定装置(リテーナー)を装着して、動かした歯を固定させます。

しかし、保定期間が不足していると、十分な保定をおこなえません。

矯正によって改善された歯並びが安定せず、元に戻ろうとする力が継続的に働き続けるため、後戻りが起こります。

保定装置を使っていない

2つ目の原因は、保定装置を使っていないことです。

保定装置とは、矯正によって動かした歯を支える骨(歯槽骨)をしっかりと固定させるための装置です。

部分矯正には、歯を動かす期間と、動かした歯を固定させる保定期間があります。

保定期間中に保定装置を使わないと、矯正によって不安定になった歯槽骨を完全に固定できません。

結果的に後戻りが起こります。

親知らずによる影響

3つ目の原因は、親知らずです。

親知らずとは、大臼歯の中で最も後ろに位置する歯(第3大臼歯)のことです。

親知らずが残っていると、他の歯を圧迫することがあり、後戻りの原因になってしまいます。

年月が経過するとともに、人によっては親知らずが動くことがあります。

他の歯を圧迫する状況でなかったとしても、矯正から数年が経過する頃には、両サイドの親知らずが歯を圧迫する可能性も。

親知らずが残っている場合、部分矯正を始める前に親知らずを抜いてから矯正治療を始めることが理想です。

歯周病

4つ目の原因は歯周病です。

矯正治療中に歯周病にかかると、歯槽骨や歯の周りの歯茎が溶けてしまいます。

矯正治療後は、一時的に歯槽骨が不安定になり、保定期間により、歯槽骨の位置を固定するように働きかけます。

しかし、歯周病により歯槽骨や歯茎が溶けていると、安定させることができず、後戻りの原因となってしまいます。

噛み癖や舌癖

5つ目の原因は、噛み癖や舌癖です。

歯ぎしりや食いしばりなどの癖があると、常に歯に振動が加わるため、揺さぶられることによって後戻りが起こります。

また、舌で上下の前歯を押す癖があると、前歯が押し出されるため、歯が動く原因となってしまいます。

不正咬合の原因が残っている

6つ目の原因は、不正咬合の原因が残っている場合です。

不正咬合とは、歯が正しく噛み合っていない状態のこと。

部分矯正はあくまでも前歯のみの治療です。

前歯のみを整えたとしても、奥歯の噛み合わせが悪ければ、前歯を押し出す力が働いてしまい、後戻りの原因となります。

部分矯正後の後戻りを防ぐ方法

部分矯正は全体矯正と比べて後戻りしやすい傾向があります。

そのため、後戻りを防ぐためにも、正しい保定方法を理解していくことが大切です。

・保定期間を守る
・定期的にメンテナンスをする
・悪習慣の改善
・全体矯正も視野に入れる

1つずつ紹介していきます。

保定期間を守る

後戻りを防ぐためには、保定期間をしっかりと守りましょう。

保定装置(リテーナー)を外している時間が長くなると、歯を固定できず、後戻りのリスクが高まります。

特に、治療期間が終わって歯並びに満足してしまうと、保定期間中の自己管理が甘くなり、夜間にリテーナーを装着せずに就寝してしまう方も多いです。

保定期間は個人によって異なり、治療期間と同じ、もしくはそれ以上の期間が設定されています。

保定期間中にリテーナーの装着を怠ると、治療期間が長引くことにもなってしまうため、設定された保定期間はしっかりと厳守しましょう。

また、リテーナーには、固定する「固定式」と取り外しができる「可動式」があります。

固定式は、歯の裏側にワイヤーに取り付けるタイプ、可動式はワイヤーとプレートで歯を挟むタイプ、もしくはマウスピース型のタイプがあります。

自己管理が甘くなりやすい方は、後戻りを防ぐためにも、固定式を選びましょう。

定期的にメンテナンスをする

保定期間中も定期的にメンテナンスをおこないましょう。

保定期間中にもメンテナンスをしっかりとおこなうことで、口腔内のトラブル(虫歯や歯周病など)を未然に防ぐことができ、スムーズに治療できます。

部分矯正の保定期間は、半年から1年程度です。

その期間中に虫歯や歯周病になると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶け、歯を固定させることが難しくなります。

定期的に通院して、歯並びの状態を確認してもらうとともに、虫歯や歯周病にならないようにしっかりとチェックとケアをしましょう。

悪習慣の改善

後戻りの原因となるような噛み癖や舌癖などがある方は、意識的に悪習慣の改善をおこないましょう。

・歯ぎしりやくいしばり
・舌で前歯を押す癖
・唇を吸い込む癖
・唇を噛む癖
・口呼吸
・開口

不正咬合の患者様は、何かしらの癖を持っている方が多いです。

癖を治さずに矯正治療を進めても、治療期間が長引くだけではなく、元の歯並びに戻りやすいです。

矯正治療と並行して、舌癖トレーニングなどをおこなって、癖の改善に努めましょう。

全体矯正も視野に入れる

部分矯正ではなく、全体矯正も視野に入れましょう。

部分矯正のデメリットは、全体の噛み合わせを作れないことです。

奥歯に不正咬合の原因が残っていると、前歯が圧迫されて、年月が経つごと後戻りが発生しやすくなります。

部分に歯並び改善するのではなく、不正咬合を含めた箇所も正常な位置に矯正することで、後戻りを防ぐことができ、長期的に綺麗な歯並びを保てます。

まとめ

部分矯正による後戻りの原因と対処方法を紹介しました。

後戻りの原因は以下の6つです。

・保定装置を使っていない
・親知らずによる影響
・歯周病
・噛み癖や舌癖
・保定期間の不足
・不正咬合の原因が残っている

後戻りを防ぐための対処方法は以下の4つです。

・保定期間を守る
・定期的にメンテナンスをする
・悪習慣の改善
・全体矯正も視野に入れる

後戻りは治療期間が延びる原因にもなるため、短期間で治療を終えるためにも、後戻りが起こらないように矯正を進めましょう。

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はぴねす歯科院長

コラム監修者

はぴねす歯科緑地公園駅前クリニック 院長 松浦 裕矢

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